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cairn by Shigeta Kobayashi
日本人写真家、小林茂太による作品集。
本書は「個であるということ」という概念について思索すべく、アイスランドで約一ヶ月間行った旅の写真を収録。滞在中はテントを担ぎながら、原初的な移動手段である「歩行」で旅を続けたという。直感的に撮影された、スナップショットの延長線上にあるような写真の数々は、個人的な旅の記録としての側面をより色濃く反映している。
「これは、遭難についての記録である。妻との間に子どもを授かった時、自分自身の中で何かが消えていくような感覚があった。何を考える訳でもなく、また何を考えられる訳でもなく、視線をただ窓の外に置いていた。漠然と「個」という事について考えていた。そもそもその定義にどのような意味があったのだろうか。 あるいは、世界と自分とを繋いでいるものとは何であったのだろうか。とにかく一人になる事で向き合った。
見知らぬ町の通りから霧でもやがかった山の道まで、目的地のない歩行を続けた。 白夜は時間感覚を狂わせ、慣れない野営は内と外の境界をあやふやにし、 GPSが示す道でさえ時に疑うようになった。そして、気がつくと思考するよりも先にシャッターを押していた。 言語の会話、誰もいない裏庭、テントを揺らす風、なんの変哲もない地面。次々に現れる些細な物事が、現実だと思っていた基準を変えていった」(作者ステイトメントより一部抜粋)
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Title: Cairn
Artist: Shigeta Kobayashi
Self published, 2020
Softcover, 150 x 220 mm
192 pages
First edition of 300 copies