Der Sonnenstich by Katinka Bock
パリとベルリンを拠点に活動するドイツ人アーティスト、カティンカ・ボックによる作品集。
本書は2023年2月14日から4月29日にかけて、パリのペルノ・リカール財団で開催されるボックの個展に合わせて刊行された。当展は彫刻作品で知られる彼女の写真作品に初めてフォーカスした展覧会であり、展示される約65点のうち、本書は2015年から2023年にかけて古いアナログカメラで撮影された写真の複製55点を収録する。家族や都市、あるいは自然の中で制作された写真は、ボックが物体、空間、身体、そして生物に向ける「彫刻的」視点を表している。彼女はさまざまな形や関係の特異性を観察することでイメージにインスピレーションをもたらし、そして彫刻作品と同様、素早く世界の生命力を捉え、意味の支配や意図からイメージを解放していくのである。そのスピードに対して、撮影や処理に時間を要する古いアナログカメラを使用することは逆説的ではあるが、その解放のダイナミズムを維持するための重要な要素となっている。タイトルの「Der Sonnenstich」はドイツ語で「日射病」を意味し、「Sonne」と「Stich」をそれぞれ直訳すると、「太陽の棘」となる。これはボックの祖父が書いた物語から引用され、彼女自身が最近発表した詩の中でも繰り返されている言葉であり、太陽や光への言及という点でも彼女の興味をひいた。ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの『自然の鉛筆』から、ロラン・バルトの「punctum(プンクトゥム/刺す)」まで、ボックにとって「太陽の刺」は「写真」を置き換えた言葉であり、写真史に関連するさまざまな用語と、より具体的に呼応しているのである。
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Title: Der Sonnenstich
Artist: Katinka Bock
Roma Publications, 2023
Hardcover, case binding
312 x 246 x 10 mm
92 pages
Text in French and English
First edition