Fastidiosa by Jean-Marc Caimi + Valentina Piccinni

写真家デュオ、「Jean-Marc Caimi + Valentina Piccinni」による作品集。

近年、ピアス病と呼ばれる樹病が南イタリアのオリーブ園を中心に壊滅的な被害をもたらしている。ピアス病とは、病原菌のキシレラ・ファスティディオーサによって生じる植物の病気である。樹液を吸う昆虫を媒介に拡大するこの病気は、木部管の水と栄養の流れを止め、樹木を内側から死滅させる。1990年代後半にカリフォリニアで発見されて以来となる症例が2013年イタリアのガリポリ地方で見つかり、瞬く間にイタリア南部のオリーブの木々を枯らしていった。この状況を受け、EU当局は感染の有無に関わらず、感染した木の100メートル以内の木を全て伐採する政策を策定。その結果、オリーブオイルの生産を主要産業とする地域の経済が大きな打撃を受け、ヨーロッパ中の農家がこの病原菌の拡散を恐れるようになった。

南イタリアではオリーブの木は経済的にだけでなく、歴史的／文化的にも重要な意味を持つシンボルツリーである。感染の震源地として一刻も早い対処が望まれる一方で、地元住民たちは無慈悲な伐採に対して反対運動を行っており、当局は彼らの事情を受け入れつつ状況を改善するための糸口を見つけ出すことに難航している。現在までにすでに何百万本もの木が伐採されたが、この病気の治療法もまた見つかっていない。しかし、農学者や科学者たちは、病原菌を運ぶ害虫の駆除や、ピアス病の被害を受けた地域で発見された野生のオリーブをより成長の早い樹種に接ぎ木して抵抗力のある「スーパーツリー」を作る実験を行っている。

本書は、フランス人写真家のジャン＝マルク・カイミ（Jean-Marc Caimi）とイタリア人写真家のヴァレンティナ・ピッチンニ（Valentina Piccinni）が6年間にわたり南イタリアのサレント半島にあるオリーブオイル工場に住み込み、撮影した写真を収録。農家たちが直面している状況や彼らの物語が、ビジュアルブックとしてまとめ上げられている。

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Title: Fastidiosa
Artist: Jean-Marc Caimi + Valentina Piccinni
Overlapse, 2022
Softcover with dust jacket and booklet insert, exposed thread sewn binding
162 x 216 x 19 mm
228 pages
Text in English
First edition
ISBN: 9781999446888
¥5,200 + tax