(Signed) Great Leaps Forward by Thomas Sauvin
北京在住のフランス人コレクター/アーティストのトマス・ソーヴァン(Thomas Sauvin)による作品集。
2016年、ソーヴァンは北京のフリーマーケットでビニール袋に詰め込まれた写真の山を購入した。開封してみると、そこには西安体育大学写真学部の匿名のメンバーにより撮影された、300枚以上もの写真が入っていた。
これらの写真は、1960年のある晴れた1日のアスリートたちの姿を捉えている。今日までに膨大な数の写真を蒐集してきたソーヴァンだが、1958年から1962年の間に撮影された写真を手にしたのは初めてのことだったという。というのも、撮影当時の中国では、これまでの農業経済から、工業と大規模な農業生産に根ざした新しい共産主義体制を目指した無秩序な工業化政策、「大躍進政策(Great Leaps Forward)」が毛沢東によって進められており、その政策は結果として人類史上最悪の大飢饉を発生させた。そのような社会背景もあり、この年代の現存する写真は極めて貴重である。
これらのシュールな写真は、当時の最も注目すべき社会の様相を驚くほど映し出していない(逆説的にそれが映し出しているとも言えるのだろうが)。このような、巨大な歴史観に集約されない個人の視点を蘇らせることこそが、ソーヴァンの取り組みの目的なのだと改めて感じさせられる作品集である。
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Title: Great Leaps Forward
Artist: Thomas Sauvin
Silvermine, 2019
Softcover in slipcase
170 x 330 mm, 128 pages
Text in English and Chinese
First edition of 750 copies, signed
¥8,800 + tax